なぜ「一致方法」の理解が重要なのか?
Google広告で成果を出すためには、「一致方法」の理解が欠かせません。キーワードの一致方法(完全一致・フレーズ一致・部分一致)は、広告がどんな検索語句に対して表示されるかを決める重要な要素です。
一致方法の選び方によって、広告の表示対象が広がったり、逆に限定されたりします。これがクリック率やコンバージョン率、さらにはCPA(顧客獲得単価)やROAS(広告費用対効果)に大きく影響します。
また、自動入札戦略と組み合わせる際にも、一致方法の設定は効果に直結します。特に部分一致はリーチを広げ、入札戦略の学習にも役立ちます。
つまり、一致方法を正しく使いこなすことは、無駄なコストを抑えつつ、広告のパフォーマンスを最大化する鍵となるのです。
キーワードの一致方法の基本
Google広告では、キーワードの「一致方法」によって広告が表示される検索語句が決まります。ここでは3つのマッチタイプについて、それぞれの特徴や使い分けを解説します。
● 完全一致([keyword])
定義と仕組み
ユーザーの検索語句が、指定したキーワードとほぼ同じ意味・意図である場合にのみ広告が表示されます。最も絞り込みが強いマッチタイプです。
メリット・デメリット
- メリット:意図した検索語句にだけ反応するため、無駄なクリックが少ない
- デメリット:リーチが狭く、ボリュームが不足することがある
具体的な使用例と適切な場面
例)[英会話スクール]
→「英会話スクール」「英会話教室」など、同じ意味と判断される語句にのみ反応
適している場面:狙いたい検索語句が明確なとき、無駄クリックを避けたいとき
● フレーズ一致(”keyword”)
定義と仕組み
キーワードと同じ意味を含む検索語句に反応します。語順や前後に他の語句があっても、意味が近ければ表示対象になります。
メリット・デメリット
- メリット:完全一致よりもリーチを広げながら、関連性を担保できる
- デメリット:一部の意図しない検索語句にも表示されるリスクがある
完全一致との使い分け
意味のブレは許容しつつ、ある程度コントロールしたいときに有効です。ボリュームを確保しつつ、関連性も担保したい場合に使い分けると効果的です。
● 部分一致(keyword)
定義と仕組み
キーワードに関連する意味を含む広範な検索語句に対して広告が表示されます。キーワードが含まれていない語句にも反応する可能性があります。
メリット・デメリット
- メリット:広いリーチが得られ、潜在的な見込み客にアプローチできる
- デメリット:意図しない検索語句にも表示されやすく、無駄クリックが増える恐れ
関連検索語句へのリーチの考え方
部分一致は、ユーザーの検索意図に幅広く対応できるため、今まで気づかなかったニーズの掘り起こしにもつながります。

自動入札との相性の良さ
部分一致は、Google 広告の自動入札戦略と非常に相性が良いとされています。その理由は、部分一致が幅広い検索語句に広告を表示できる一方で、自動入札がその中から「コンバージョンが見込めるユーザー」だけを狙って入札を最適化するためです。
例えば、「英会話」というキーワードを部分一致で設定すると、「英語を話せるようになりたい」「外国人と話す方法」など、直接的には同じ語句を含まない検索にも広告が表示される可能性があります。これらの検索には、今すぐに英会話スクールに申し込むわけではないものの、興味関心を持っているユーザーが含まれていることも多く、将来的な顧客になり得るのです。
ここで自動入札戦略(たとえば「目標CPA」や「コンバージョン数の最大化」)を使うと、Googleの機械学習が、こうした膨大な検索の中から「過去のコンバージョン傾向」と照らし合わせて、より成果につながりやすい検索クエリやユーザーを判断し、入札額を自動で調整してくれます。つまり、広告主側が一つひとつのキーワードの効果を細かく見て調整しなくても、Googleが最適なタイミングと検索語句に絞って予算を活用してくれるというわけです。
ただし、すべてを機械任せにするのではなく、検索語句レポートを定期的にチェックし、成果につながらない無関係な検索語句を「除外キーワード」として適切に管理することも忘れてはいけません。このフィルタリングを行うことで、部分一致×自動入札という強力な組み合わせが、より精度の高い成果を生み出せるようになります。
一致方法 | 定義・仕組み | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
完全一致 | 指定したキーワードと完全に一致する検索語句に広告を表示。例: [keyword] | 最もターゲットが絞られ、無駄なクリックを減らす | リーチ数が少なく、潜在顧客への露出が限られる |
フレーズ一致 | 指定したキーワードの順番や意味が一致する検索語句に広告を表示。例: “keyword” | 完全一致よりリーチが広がり、関連性が高い広告を表示 | 広告が表示される検索語句の範囲が広すぎる場合がある |
部分一致 | 指定したキーワードに関連する検索語句に広告を表示。例: keyword | 広範囲なリーチが可能で、潜在顧客へのアプローチが多い | 意図しない検索語句に広告が表示されることがある |
部分一致戦略の導入・テスト方法
なぜ部分一致のテストが必要なのか?
現在の一致タイプでのリーチの限界
完全一致やフレーズ一致は、ターゲティング精度が高いものの、リーチできる検索語句が限られてしまいます。このため、より多くのユーザーにリーチしたい場合、部分一致の利用が効果的です。部分一致は検索語句のバリエーションを広げ、広告が表示される範囲を広げることができますが、その効果を正確に把握するためには、テストを行い、実際のパフォーマンスを確認する必要があります。
完全一致/フレーズ一致との補完的活用
部分一致は、完全一致やフレーズ一致と補完的に活用することで、広告の露出範囲を広げながら、ターゲットとなるキーワードにしっかりとリーチできます。完全一致やフレーズ一致だけではカバーしきれない検索語句を部分一致で補完することができ、より広範囲の潜在顧客に広告を表示できるようになります。
Google広告「キャンペーン>テスト」機能の活用
テスト設定の流れ(ワンクリックテスト)
Google広告には、テスト機能が備わっており、部分一致戦略の導入を効率よくテストできます。この機能を使用すると、数回のクリックで簡単にテストを開始できます。設定後、テスト群と対照群を作成し、パフォーマンスを比較できます。これにより、部分一致がどの程度効果的かを迅速に確認することができます。
対照群・テスト群の構成方法
テスト群には部分一致を含む新しいキーワードを追加します。対照群には、現在使用している完全一致やフレーズ一致のキーワードをそのまま利用します。このように、テスト群と対照群を設定することで、どの一致タイプが最も効果的であるかを明確に比較できます。
自動入札戦略と目標設定の重要性
テストを実施する際には、自動入札戦略を活用することが重要です。例えば、「目標CPA」や「コンバージョン数の最大化」を設定し、テスト期間中にどの群がより高い成果を達成するかを確認します。自動入札戦略を組み合わせることで、広告が最適なタイミングと場所で表示され、テスト結果がより実践的で信頼性の高いものとなります。
統計的有意性の考え方と運用スケジュール(立ち上げ期間、30コンバージョン、4週間の目安)
テストを行う際は、統計的有意性を確保することが不可欠です。これには、最低でも30回のコンバージョンが必要となります。テスト期間は通常、4週間程度を目安に実施しますが、最初の1週間は「立ち上げ期間」として除外します。その後のパフォーマンスをもとに、テスト結果の有意性を確認し、最適な戦略を選定します。

具体的なテスト設定の方法
1. キャンペーンの目的と目標を設定する
テストを始める前に、最初にキャンペーンの目的を明確にし、それに基づいて目標を設定することが重要です。たとえば、以下のような目標を設定できます:
- 目標CPA(顧客獲得単価): 広告が1件のコンバージョンを獲得するために必要なコストを最小化することを目指します。
- コンバージョン数の最大化: 広告予算を最適に配分し、最も多くのコンバージョンを獲得することを目指します。
目標を設定することで、テストがより明確な方向性で進行し、成果を評価する基準も確立できます。
2. 対照群とテスト群を作成する
次に、テスト群(新しい戦略を試すグループ)と対照群(既存の戦略を維持するグループ)を作成します。
- テスト群: ここに、部分一致を追加したキーワードセットを配置します。このグループで部分一致の効果を評価します。
- 対照群: 現在使用している完全一致とフレーズ一致のキーワードをそのまま使用します。このグループは、部分一致戦略が導入されていない場合のパフォーマンスを評価します。
これにより、部分一致の効果が既存の戦略と比較してどのように変化するのかを明確に見ることができます。
3. Google広告の「キャンペーン>テスト」機能を使用する
Google広告では「キャンペーン>テスト」機能を活用することで、簡単にA/Bテストを設定できます。ワンクリックでテストを実施でき、キャンペーン内のキーワードや入札戦略を比較することができます。
テストの設定方法:
- テストの作成: Google広告の「キャンペーン」画面から「テスト」を選択し、新しいテストキャンペーンを作成します。
- 対照群とテスト群を選択: テストキャンペーン内で、対照群(従来の完全一致とフレーズ一致)とテスト群(部分一致を追加)を設定します。
- テスト群の設定: テスト群に部分一致のキーワードを追加します。これにより、部分一致がどの程度の効果をもたらすのかを確認できます。
4. 自動入札戦略を設定する
テストを行う際には、自動入札戦略を使用することが推奨されます。例えば、「目標CPA」や「コンバージョン数の最大化」などの自動入札戦略を選択することで、テストの結果がより正確に測定できます。
- 目標CPA: 広告が定めた顧客獲得単価に合わせて自動で入札額を調整します。これにより、テスト中でも目標に対して最適な入札額を維持できます。
- コンバージョン数の最大化: 広告が可能な限り多くのコンバージョンを獲得できるように、入札額を自動的に調整します。
自動入札戦略を使用することで、手動での入札管理をせずとも、テストを実施しながら最適化が行われます。
5. 統計的有意性を確認する
テストを実施する際は、統計的有意性を確認することが重要です。これは、テストの結果が偶然によるものではなく、十分なデータが集まり、実際に意味のある結果であることを確かめるための手法です。
- 30コンバージョンの目安: 統計的有意性を確保するためには、テスト期間中に少なくとも30回のコンバージョンを獲得することが推奨されます。
- テスト期間: 結果が有意性を持つかどうかを確認するために、テスト期間は少なくとも4週間を目安に設定します。最初の1週間は立ち上げ期間としてデータに含めず、その後の結果を評価します。
6. パフォーマンスの評価と最適化
テストの結果を評価し、統計的有意性を確認した後、パフォーマンスを比較します。もしテスト群(部分一致)が対照群(完全一致・フレーズ一致)よりも効果的であれば、その結果をもとに広告戦略を改善します。
- パフォーマンスの差: クリック率(CTR)、コンバージョン率、CPA、ROASなどの指標を確認し、どちらの戦略が効果的であったかを判断します。
- 最適化の決定: テスト結果に基づいて、部分一致の利用を広げるか、既存の一致方法を維持するかの判断を行います。
テスト成功のための実践チェックリスト
1. 期間中に手動で変更しない
テスト期間中は、設定した通りに運用を続けることが重要です。手動で変更を加えると、テスト結果に影響を与えてしまうため、最初に設定した広告運用の条件を守りましょう。これにより、データが正確に収集され、信頼できる結果が得られます。
2. 入札戦略・予算・クリエイティブの統一
テストを実施する際には、他の要因を変えないように注意が必要です。入札戦略や予算、広告のクリエイティブ(広告文や画像)などをテスト期間中に変更しないようにしましょう。これらが変更されると、テストの結果に影響を与える可能性があるため、テスト対象となる要素は一貫性を保つことが求められます。
3. コンバージョン数が十分かどうか
テストを行う際に、コンバージョン数が十分に集まるまで待つことが大切です。統計的に有意な結果を得るためには、最低でも30回以上のコンバージョンが必要です。コンバージョンが少ない段階で結果を急いで評価することは避け、十分なデータが集まるのを待つようにしましょう。
4. 判断を急がず、冷静に評価する姿勢
テスト結果を急いで判断せず、冷静に評価することが重要です。特に、最初の数日間や一週間はデータが不安定な場合があるため、テスト終了後に十分なデータが集まってから評価を行うようにしましょう。感情的な判断を避け、データに基づいた冷静な分析を心がけましょう。
まとめ:一致方法を使い分け、テストを通じて成果を最適化する
1. 運用初期にありがちなミスと対策
運用初期では、テスト結果を早急に求めて設定を頻繁に変更することがよくあります。これにより、テストが正しく実施されず、無駄な変更が多くなってしまうことがあります。対策として、テスト期間中は設定を変更せず、十分なデータを収集した後に評価を行うことが重要です。また、設定の見直しや最適化はテストが終了した後に行いましょう。
2. 成果改善のために継続的に見るべき指標(CVR、CPC、CPAなど)
テストを通じて成果を最適化するためには、以下の指標を継続的に確認し、改善の余地を見つけることが重要です:
- CVR(コンバージョン率): 広告クリック後にどれだけのユーザーがコンバージョンに至ったかを確認します。CVRが高ければ、広告がターゲットに適切に届いている証拠です。
- CPC(クリック単価): 1クリックあたりのコストです。低いCPCでコンバージョンが得られれば、コスト効率が良いといえます。
- CPA(顧客獲得単価): 1件のコンバージョンにかかるコストを示します。CPAが低いほど、広告費用対効果が高いと言えます。
これらの指標を継続的にモニタリングし、最適化を図っていくことが成功の鍵となります。
3. 最終的には「仮説 → テスト → 振り返り」のループが成果を伸ばす
広告運用の成果を最適化するためには、仮説を立て、テストを実施し、その結果を振り返るというサイクルを繰り返すことが大切です。このプロセスを繰り返すことで、広告運用の精度が向上し、最終的にはより良い成果を生み出すことができます。
- 仮説: 広告運用に関する仮説を立て、どのような戦略が有効かを考えます。
- テスト: 仮説を基にテストを実施し、実際にデータを収集します。
- 振り返り: テスト結果を分析し、次のステップに生かすための改善策を見つけます。
このサイクルを繰り返すことで、継続的に成果を伸ばしていくことが可能です。
「インハウス広告ソリューション」では、8万円のコストパフォーマンスで初期設定からしっかりサポートを提供しています。
広告アカウントの立ち上げ、ターゲット設定、キャンペーン設計などの重要な初期ステップをサポートし、広告運用のスタートをスムーズに。自社で運用を始めた後も、継続的な改善を行いやすくする基盤を整えます。広告運用の内製化を実現し、コスト削減と成果の最大化をサポートします。
詳細はこちらをご覧ください。